役行者山(えんのぎょうじゃやま)
役行者山は応仁の乱以前からの舁山で御神体は修験道の開祖役小角(えんのおずぬ)、尊称神変大菩薩役行者(しんぺんだいぼさつえんのぎょうじゃ)と一言主神(ひとことぬしのかみ)と葛城神(かつらぎのかみ)の三神で、役行者が一言主神を使って葛城山と大峰山の間に橋を架けさせたという伝承を想起させる。
正面に役行者が帽子(もうす)を被り袈裟・掛絡(くわら)を纏い経巻・錫杖(しゃくじょう)を手に祠(ほこら)に座し、葛城神は女神で手に輪宝を、一言主神は鬼形で赤熊(しゃぐま)を被り斧を携える。水引は綴錦の名手西山勘七作の唐子遊図、二番水引は萌黄(もえぎ)地龍文図に正面に壽を織り出し、前懸は岩牡丹胡蝶図(さわぼたんこちょうず)を中央に、左右に雲龍文様の三枚重ね、胴懸は真向龍文様、見送りは袋中上人(たいちゅうしょうにん)請来の朝鮮軍旗で、昇龍波濤文様の二枚重ねを紅地古金欄安楽庵裂(あんらくあんきれ)で縁取ったものと、中国明朝官工場で織られた金地唐美人園遊図と、それを昭和五十七年復元新調した三種がある。欄縁の黒漆塗に高浮彫雲龍と輪宝文様の鍍金金具は見事である。平成二十年浅葱色(あさぎいろ)と朱色の飾り房三十本が復元新調された。宵山の七月二十三日には本山修験宗総本山聖護院による護摩焚が行われる。